アトピー性皮膚炎

■ アトピー性皮膚炎の漢方治療

 「アトピー性皮膚炎」とは,皮膚病の中でも特にアレルギーによって引き起こされる湿疹などに対して名付けられたものです。
 アトピー(atopy)とは,ギリシャ語のatopic(異常)が由来と考えられておりまして,原因がはっきりとしない複雑な状態を暗に意味として含んでいます。そのため,現在に至っても難治性の病症とされています。また,アレルギーというのは,ある特定の物質(アレルゲン)に対する過敏反応のことです。

 乳児期や小児期での発症が多く見られ,その後の成長と共に落ち着くこともあれば,大人まで持ち越すケースもあります。また,幼児期に現れなくても,さらに成長した段階あるいは青年期、壮年期、老年期になって初めて発症することも少なくありません。

 「アトピー性皮膚炎」には大きく分けて乾燥性のものと湿潤性のものがあります。前者は空気が乾燥する秋から冬にかけて発症しやすく悪化しやすい傾向があり,後者の場合は暑熱の盛んな夏季に発症しやすく悪化しやすい傾向が見られます。

 現代医学の治療では,その人のアレルゲンを確認し,それを注射してこれに対する過敏性を取り除くという方法(減感作療法)を用いることがあります。しかし,この方法は長期にわたる通院治療と根気が必要ですし,多種のアレルゲンを持つケースでは効果が不充分であるなどの問題を抱えています。また,食物アレルゲンがある場合に,それを一定期間摂取しないようにして,その食物に対する過敏性を取り除くという方法(一種の食事療法)もありますが,多種の食物アレルゲンがある人にとっては実行が困難です。この他,ステロイド(副腎皮質)ホルモン含有の軟膏を塗ったり,抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を服用する方法もありますが,いずれも効果が一時的であり副作用のリスクも否定できません。

 中医では,そのほとんどの病症が“風湿熱(ふうしつねつ)、血虚風燥(けっきょふうそう)”と称される病症に属すものと理論づけられています。

 当店での漢方治療では,やはり先ず体質や全身特徴に基づいて大分類し,その後,全身性・局所性の区別、痒みの程度、患部隆起の有無、乾燥と潤いのバランス、浸出液の有無、患部の熱感(発赤の程度)、季節の影響、女性では月経との相互影響など細かな情報に基づいて必要なお薬を選定します。

 「気管支喘息」や「鼻炎」などを併発していたり,同時に胃腸病も見られるケースが比較的多いですが,できる限りお薬を増やさず一緒に改善できるよう心掛けております(場合によっては優先順位に沿うよう順番に治療を行うこともあります)。

 本ページは「皮膚病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の皮膚病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/29


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