新型コロナウイルス(COVID-19)感染症について

当店の方針(札幌市内または近郊にお住まいの方へ)

 当店では漢方治療をご希望の方に対し,限定的に行います。

対象の方および必要条件

・PCR等の検査結果が陽性であり,軽症と判断されてご自宅等で待機されている方の中で,症状に苦しむ方。
 (症状が極軽い場合はそのままご静養下さい。安静にされているだけで回復に向かう例が多いです。)
・ご本人が札幌市内または近郊にお住まいで,代理の方も直接ご来店頂ける距離の範囲内にお住まいであること。
・代理の方は,陽性が確定していないことが条件です。また,ご来店の際には最低限マスクをご着用下さい(お手製のものでも構いません)。

治療の流れ

1.感染者ご本人とは,予めお電話でこちらが必要とするご病状等をお尋ねします(店頭での時間短縮も一部兼ねています)。
2.ご本人の日常や現在のご病状を概ねご存じである代理の方にご来店頂きます(できる限りお一人でご来店下さい)。

お断りする場合

・症状が無い方。
・既に入院されている方。
・軽症であっても,症状が急に悪化して入院が必要な程度と思われる場合。
・既にアビガン等の治療薬の服用を開始された方。

その他

 私(店主)の感染が判明した場合は直ちに中止し,自身の回復を待ちます。

情報の提供(一般の方および専門家の方へ)

「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」について

 中国で使用されている処方の一つである「清肺排毒湯」についてお話しを致します。

清肺排毒湯の組成:
 麻黄、甘草、杏仁、石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄、半夏、生姜、紫、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、香。

 既にご承知かと思いますが,現代中医学の理論に基づく現代の処方,謂わば新薬です。
 当然の事ながら固定処方ではなく,薬味の加減(※1)が必要です。そうしなければ(このまま投薬しても),悪化する場合や無効となる例がそれなりに出てしまうでしょう。
(※1)加減:必要な生薬成分を加味し,不要な生薬成分を取り除くこと。

 お問い合せも既に多いですが,この処方のエキス剤はありません。煎じ薬も認可されていませんし生薬も全ては揃いません。しかし,既にあるエキス剤を組み合わせることによって,これに近いものが作れます(以下のとおりです)。

 「麻杏甘石湯」+「五苓散」+「小柴胡湯」

 紫、款冬花、射干、山薬、香は無くてもほぼ問題ありません。

以下は治療のヒントになれば幸いです

当店での症例(要点のみ):
・解熱剤や抗生剤は無効。
・発熱:ピーク時の体温は38℃を上回る(まだ軽症ということなのかも知れません)。
・往来寒熱(※2):この場合特に大事なのは自覚する体温感覚です。→柴胡剤の指標。;悪熱が強く悪寒は分からない程度。→「桂枝二越婢一湯」。
・体力減退:発熱がやや重いので当然です。
・咳嗽:やや重い。→「麻杏甘石湯」。
・胃納(食欲):はっきりとした衰えは無い(これは治りやすいです)。
・口渇、胃腸症状(吐き気、嘔吐、下痢):何れも無し。→口渇も下痢も見られないため「五苓散」は不要。
・咽喉痛:無し。→桔梗などは不要。
(※2)往来寒熱:体温上昇に一定の波があること。

 体質も考えて桂枝類方が少し欲しかったため「柴胡桂枝湯」を選定しました。
 これに,「麻杏甘石湯」が無いため「五虎湯(ごことう:麻杏甘石湯加桑白皮)」を合わせました。
 (桑白皮は咳嗽が重い場合の補助薬ですので,無くても良いと考えます。)
 また,「桂枝二越婢一湯(“太陽病,発熱悪寒,熱多寒少,脈微弱者”)」も含まれていますので,発熱が柴胡証であっても桂枝二越婢一湯証であっても両方に対応できると思います(実際に著しい改善が得られました)。
 このような場合は,発汗が過ぎないようご注意下さい。身体を冷やさないようにし,発汗するほど温めないで下さい。体液が損傷し過ぎると,発熱と乾燥により肺炎を悪化させる恐れがあります。

 この例ではまだ表証(または半表半裏)ですが,重症化した場合は裏証もはっきりと現れて複雑化することが推定できますし,処方内容も大きく変わります。

経験的考察:
・その他の使い分けも《傷寒論》をしっかりと学んだ方であれば難しくありません。今までに学んだことを活かして下さい。
・漢方に於いて,その治療方法は季節性の流感と何ら変わりはありません。違いは(個人差がありますが)性質が劇烈で悪化も急劇である点です。
・薬味は多くなりがちですが,必要最小限が望ましいです。一般に薬味が多くなる程効き目が鈍ります。
・一部の粗悪品を除き,病状に適合してさえいれば成分量が少な目でも程良く効いてくれます。

注意点:
・「十全大補湯」、「補中益気湯」、「参蘇飲」、「人参養栄湯」などは回復後期の仕上げに,必要に応じてご使用下さい。急性の傷寒病(伝染性の大病)ですので,このような薬方を使っている場合ではありません。
・呼吸困難が見られる場合は芍薬が含まれていない方が良いと考えます。気管支の拡張や胸筋が弛緩している状況(※3)であれば悪化する可能性が考えられます。その場合は厚朴を加えるのが良いでしょう(半夏厚朴湯や平胃散を少量追加するなど、要舌診)。同時に腹満が見られても一緒の改善が見込めます。
(※3)吸気よりも呼気が苦しい状況(肺が膨れる感じ)ですが,見極めは比較的難しいです。

理論的考察:
 麻黄、桂枝の配合(「麻黄湯」、「小青竜湯」、「葛根湯」など)は発汗を促しますので,普段から汗をかきやすく,特に痩せ型の方には要注意です。これに石膏が加わることによって過度な発汗が抑えられますので,どうしても「麻杏甘石湯」や「五虎湯」が用意できない場合は,一時的に「麻黄湯」を半分程度とし,これに「白虎加人参湯」を加える方法も考えられます(人参は体液の漏出を抑え,失った体液を補ってくれます)。

 昭和の幾つかの資料を見ますと,カルシウムイオンが免疫細胞や免疫物質を活性化し,暴走(過剰免疫)も防ぐとされています。これは主に石膏(含水硫酸カルシウムCaSO4・2H2O)ですが,ここに呼吸を改善させる麻黄、杏仁,および急な炎症を鎮めて石膏を抽出しやすくする甘草が加えられた「麻杏甘石湯」は新型コロナウイルスによる初期から中期に掛けての段階で,治療の柱になると考えております。
 検査で陽性の場合は,変異による大きな変化が無い限り病源(病原)がほぼ固定ですので,何を使用したら良いかを辨別できない場合は,まず「麻杏甘石湯」(または「五虎湯」)を少し服用させて観察し,その他の証が判明したら,都度必要な薬味を加える方法が良いでしょう。

一般の方へのご注意とお願い

・情報が錯綜しており誤解も多いのですが,感染の予防のために漢方薬を服用したり発酵食品を摂るなどしても意味がありません。感染の予防は他人との接触(直接と間接の両方)を減らすしかないのです。
・検査結果が陽性の方は(陽性の内は)外出を極力お控え下さい。
・体力や抵抗力を温存して下さい。体力や抵抗力を高めることよりも,無駄に消耗しないことの方に重点を置くべきと考えます。具体的には,過労、睡眠不足、過度な心配、飲食の不摂生などに注意を払うことです。運動も不可欠ですが,疲労感がはっきりと残るまでしないで下さい。
・発症した時のための漢方薬の買い置きはある種危険な行為ですので,お気持ちはお察ししますが,それはなさらないで下さい。処方内容が発症した時の状態に適合していないことが有り得ますし,正に今必要な方にお薬が行き渡らないことも起こり得るからです。


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