泌尿器疾患

 泌尿器疾患には,腎臓、膀胱、尿道、前立腺、生殖器などに発生する病気が含まれます。
 急性でも軽症の場合は,治療が適切であれば順調に治りますが,不適切な治療や病人の不摂生などによって病状をこじらせたり慢性化しますと,治療が順調に行かず良くなったり悪くなったりの経過をたどるようになります。
 現代医学の治療では,検査の繰り返しと抗生剤などの薬物治療を延々と続ける傾向が見られますが,発病の原因が毎日の生活の中にある場合は,そのことを考えずに治療を続けてもなかなか改善が得られません。合成医薬品の過度な使用による弊害の方が心配になります。
 病気の治療を完成させるには,検査や服薬だけでなく,生活面の改善などの環境づくりも必要です。そして何より患者さん自身の治療に対する熱心さが無くては治りません。これはおよそ全ての病気に対しても同様です。
 経験から申しますと,泌尿器疾患の治療は慢性化しやすい傾向が見られますので,治療期間中はとくに養生が重要となります。

● 排尿痛(急・慢性膀胱炎、無菌性膀胱炎、前立腺炎など)

 これは,急・慢性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎などで排尿時に痛みを感じる症状です。下腹部痛、下腹部の違和感、残尿感、血尿などを伴う場合もあります。
 一般に,急性のものは細菌などの感染によって発生し,排尿時に比較的強い痛みが現れ,また慢性化したものには無菌性のものも多く見られ,痛みが有ってもそれほど激しくありません。
 細菌の感染によるものは一般に抗生剤で治療できますが,慢性化して繰り返し発症する場合は,細菌性、無菌性を問わず漢方治療の方が効果的です。

更新:2023/07/22

● 血尿

 急・慢性の膀胱炎や前立腺炎,生殖器系の疾患、腎炎などの病気に見られる症状です。
 出血が目で確認できず,尿検査ではじめて発見されるものがあり,この時の出血を「潜血(せんけつ)」と呼んでいます。潜血は多くは慢性化したものに見られることが多いようです。
 排尿時に痛みを伴うものと伴わないものがありますが,一般に痛みは急性の場合に多く,慢性では痛みは無いか,あるいは有っても軽いようです。
 この病症は,中医で言う「湿熱下注(しつねつげちゅう)」、「気虚(ききょ)」、「血(おけつ)」などの病症に見られる症状です。いずれの場合も漢方で治療できます。

更新:2023/07/22

● 前立腺異常(前立腺肥大と前立腺炎)と膀胱炎

■前立腺異常
 前立腺異常は男性特有の泌尿器疾患です。本病には,大きく分けて「前立腺肥大」と「前立腺炎」があります。

【前立腺肥大】
 主に中医で言う「腎」の機能低下による病症でして,高齢になるほど現れやすい傾向があります。
 およそ五十代から腺体が肥大して発生する病症でして,男性高齢者の七〜八割が罹(かか)ると言われています。四十代でも現れ始めることがありますし,稀に二十代の若年世代でも見られることがあります。一般的に,若い時には滅多に現れない症状ですから,一種の老化による病症と考えて良いでしょう。
 これだけでは痛みや血尿などは見られませんが,前立腺が肥大して尿道を狭め,また肥大した前立腺が膀胱内にまで盛り上がって入り込むという現象が生じることもありますので,「頻尿、尿の出が悪い、尿線が細く勢いがない、尿の切れが悪い、残尿感、下腹部が重苦しい、鼠径部(下腹部〜股関節周辺)が痛む、冷えると悪化する、足腰が痛怠くあるいは重怠くて力が入らない」などの症状が生じやすくなります。

症状はおよそ次の三期に分けられます:
 第一期:夜間の排尿回数が増える。2回以上。わずかに排尿困難があるが,残尿は無い。
 第二期:頻尿や排尿切迫(尿意逼迫)があらわれ,残尿があり,排尿困難が顕著となり,ときに突然尿が出なくなることがある。
 第三期:膀胱が収縮能力を失い,膀胱の中に尿がたまりすぎて自然に漏れるようになる。この時期には腎機能にも障害が見られるようになります。これが更に進みますと腎機能不全や尿毒症を起こして生命にまで危険が及びます。

 このように,前立腺肥大は単なる尿の排泄異常だけの問題ではなく,全身的な意味合いを持つ病気でもあります。

【前立腺炎】
 前立腺炎には急性のものと慢性のものがあります。
 急性の場合は膀胱炎に似た「残尿感、排尿痛、血尿(潜血を含む)」などの比較的激しい症状が現れます。
 慢性の場合は現れる症状は急性のものと似ていますが,程度は比較的緩慢です。初期の内は排尿に違和感があるといった程度の軽い症状ですから,すぐに治療を受けるという気にはなかなかなれず,つい悪化させてしまうというのが現状のようです。また,気軽に専門医に相談できる病気ではないことも治療を遅らせる一因と考えられます。

 高齢化社会を迎え,前立腺の病気が益々増加する傾向にありますし,それと共に「前立腺癌」の発生率も高まっていますので,早期に治療を始めるべきでしょう。慢性の場合は特に漢方治療が望ましいです。

■膀胱炎
 膀胱炎には急性のものと慢性のものがあり,主な症状は「残尿感、排尿痛、血尿(潜血を含む)、下腹部痛あるいは下腹部の違和感」などでして,こちらは女性に多く見られます。漢方治療での基本的な考え方は上述の前立腺炎の治療とよく似ています。 こちらも,早めの治療が大切です。

更新:2023/07/22

● 夜間頻尿(夜間多尿)

 若いときは寝る前に少々水分を摂っても“夜間排尿”はみられないものですが,中年以降になりますと,何度か夜間にトイレに行くようになるものです。
 一般に夜間に2回以上の排尿があるものを「夜間頻尿」と呼んでいますが,時には4回も5回も行くようになり,そのため人によっては熟睡できない状況に陥ることもあります。この様な場合は治療の必要が出て参ります。
 尿の貯蔵と排泄に直接か関わるのは膀胱ですが,中医ではこの膀胱の働きは「腎」によって調節されていると考えます。ですから,“夜間頻尿”といわれる病症は基本的には「腎」の働きが弱ったために膀胱が尿の貯蔵と排泄を調節できなくなって引き起こります。
 この種の病症の治療には「腎」の衰えを回復させる“温補腎陽(おんぽじんよう)”の薬から選んで使用することが多いです。これは,“腎を温めて膀胱を調節する働きを補う”ということです。
 合成薬にはこの種の治療薬はありませんが,漢方には情況に応じた治療薬が用意されています。体質や病状の違いによって選用する漢方も異なりますので,お悩みの方はぜひ一度ご相談下さい。
 「夜間頻尿」は特徴の一つに気温が低い秋、冬の時季に多発する傾向があります。身体を冷やさないよう調節することも予防や治療には大切です。

更新:2023/07/22

● 小児の夜尿症

 中医理論では,「膀胱虚寒(ぼうこうきょかん)」の病症であり,膀胱に原因があると考えています。また,膀胱が「腎」の支配を受けていることから,根本的には腎虚(この場合は,腎機能がまだ未熟で弱い状態のこと)も原因と考えられます。漢方で改善できることも多いです。
 当然ながら就寝前に水分を必要以上に多く摂る場合はそれが原因であり,上記のような病症ではありません。

更新:2023/07/22

● 残尿感

 膀胱炎や前立腺肥大などによく見られる症状です。
 膀胱炎では,他に「排尿痛、頻尿、血尿」などの症状を伴いますし,前立腺肥大では,他に「尿の出が悪い、尿線が細く勢いがない、排尿に時間がかかる、夜間頻尿、足のむくみ、足腰が怠い」などの症状を伴います。
 なお,残尿感を繰り返し発する人の場合は,その原因が泌尿器のみならず胃腸、肝、腎など他臓の機能異常と関わっているケースも考えられますので,とくに慢性化している場合は全身的な視野で病症を捉える必要があります。

更新:2023/07/22

● 下腹部痛

 下腹部には膀胱・子宮・腸などの臓器があり,下腹部の痛みの発生にはこれらの臓器の機能異常と深い関係があります。膀胱に異常があるときは,排尿異常としての各種症状が現れますし,子宮に異常があるときは,月経異常としての種々の症状が現れ,また腸に異常があるときは下痢や便秘などの排泄異常が出現します。治療時はこれらの症状特徴に基づいてその原因を捉えて治療します。その他,下腹部は肝臓の経絡が巡行する部位でもありますので,時には肝機能異常がこれらの臓器の機能異常をまねいているケースもあり,治療時はその点も考慮する必要があります。

更新:2023/07/22

● 性器異常出血

 本病は男性にも女性にも見られる症状です。
 男性の場合は,前立腺炎やその他生殖器の炎症などが原因となって現れる傾向があります。射精時に精液に血液が混じって出るのが一般的です。
 また女性では,子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内炎症、膣炎などの原因によって発することが多いようです。
 いずれの場合も漢方で治療できます。

更新:2023/07/22

● 尿の排出が悪い(排尿困難)

 一般には膀胱炎、前立腺異常、ある種の腎臓病(とくに中医で言う「腎虚(じんきょ)」の病症)などに多く見られる症状です。
 急性、慢性があり,あるいは浮腫(むくみ)を伴うもの、下痢を伴うものなどもあり,また発病に対して多種の原因の併発も考えられることから,治療時は原因を詳しく推察して病状を判断する必要があります。

更新:2023/07/22

● 膀胱結石

 一般には,体質的要因や生活習慣(とくに飲食の習慣)によって引き起こされるものが多いようです。
 膀胱の中に結石がたまるという病症でして,これによって膀胱内に炎症をもたらし,慢性膀胱炎に似た排尿障害を起こすことがあります。
 痛みや出血(血尿)の有無など人によって現れる症状が異なります。
 時間を要することが予想されますが,漢方にも治療法はあります。

更新:2023/07/22

● 尿閉(小便が出なくなる)

 高齢者や体力が極度に低下した人,あるいは出産後に突然排尿ができなくなるといった症状が現れることがあります。この病症に対して,中医では「腎」の衰え(「腎虚(じんきょ)」と呼びます)と関係があると考えます。
 腎と膀胱は互いに密接な関係にあり,生理的にも病理的にも互いに影響し合います。また,腎には膀胱の働きを調節するという役割があり,腎の働きが弱るとその働きが低下して膀胱の排尿に影響し,その結果として「尿閉」を起こすというものです。
 尿意はあっても膀胱の収縮機能が働かず,そのために発する病症で,一過性のものと慢性のものとがあります。
 この他,同様に腎虚が関連した病気に男性の「前立腺肥大」がありますが,この前立腺肥大が重くなったときにも尿道がふさがって排尿困難となるケースがあります。
 このように「尿閉」は必ずしも膀胱だけの病気ではありません。それぞれ,漢方で改善可能です。

更新:2023/07/22

● 尿意促迫

 多くは膀胱炎や前立腺肥大で見られます。尿意をもよおすと我慢ができずトイレに着く前に尿が漏れてしまうというものです。
 この情況を,中医では「腎」の衰え(「腎虚(じんきょ)」と呼びます)と「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる二つの病症が原因になっていると考えます。
 とくに前立腺肥大症でこの症状が現れる場合は,そのほとんどが局所(前立腺)に鬱血がある場合に現れやすいという報告がありますし,前立腺の浮腫(水分停滞)も推察できます。
 これも漢方で改善できます。

更新:2023/07/22

● 尿道炎

 膀胱炎と同様に泌尿器疾患の一種でして,その異なるところは発病部位が尿道であるという点です。
 原因は多くが膀胱炎の場合と類似していますし,膀胱炎と同様に女性に多発する傾向があります。治療もまた同様の考え方で行います。

更新:2023/07/22


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